【真田太平記八】池波正太郎(新潮文庫)
天正10年。
武田勝頼、最後の砦[高遠城]。
城を守る足軽向井佐平治は、お紅に出会った。
お紅は、真田昌幸配下の忍び[草の者]。
城を脱した佐平治は、お紅と信州真田へ向かい、別所温泉で昌幸の次男源次郎信繁[幸村]に出会った……。
戦乱の山田舎、夕餉は忍びの者達にとって僅かな安らぎ。
その日の夕暮れになり、下久我の忍び宿の屋根裏の部屋で眠っていたお紅から合図があったので、権左が隠し梯子を下ろした。
すでに奥の部屋から奥村弥五平衛も起き出ている。
階下へ降りて来たお紅は、弥五平衛と共に夕餉の膳についた。
権左が支度した熱い粟飯である。
この粟飯は、権左が得意とするもので、干し柿と干し大根が刻みこまれていた。
「よう、眠れたか、弥五どの」「さて……」苦笑を浮かべた弥五平衛の瞼が、わずかに腫れている。
お紅も同様であった。
「やはりな……」「そちらも?」「うむ……」意味ありげな二人の遣り取りを権左が見つめている。
今夜の忍び宿には、三人きりであった。
【干し柿と干し大根を刻み込んだ熱い粟飯】
料理:田村隆
材料:二人分
もち粟(70g)玄米(2合)水(520㏄)切干大根(乾燥20g)干し柿(35g)酒(200㏄)味醂(40㏄)濃口醤油(40㏄)砂糖(10g)赤唐辛子(1本)昆布(15g)
先ずは玄米を洗う、研ぐと言うより優しく洗う。
洗った玄米は6時間以上水に浸ける。
もち粟は一晩水に浸ける。
玄米は浸けて置いた水事釜に入れ、もち粟は水切りしてから合わせ炊く。
切干大根は一晩水に浸け、戻して茹でておく。
切干大根に茹でた昆布を千切りにして入れる。
煮切った酒と味醂・砂糖・濃口醤油・赤唐辛子を入れ、一晩浸けこむ。
干し柿は種を除き1センチ角に切る。
浸けこんだ切干大根と昆布は水を切り細かく刻む。
炊けたもち粟に入った玄米に入れよく混ぜる。
茶碗に盛ったら刻んだ干し柿をのせる。
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