» 2014 » 6月のブログ記事

 鬼平犯科帳17 【権兵衛酒屋】

 駒込の外れに、名前がなく「権兵衛酒屋」と呼ばれている奇妙な居酒屋があった。
 店の夫婦は無口で愛想がない。
 平蔵がここに立ち寄った日、店が襲われた。
 女房は何者かに斬られ、亭主は女房を置き去りにして消えた。
 そして、この謎を探りはじめた平蔵にも、怪しい影が近づいてくるのであった…。

 それから二刻ほど後になって、どうしたことか、長谷川平蔵が〔権兵衛酒屋〕の裏手の竹藪の中に佇んでいる。
 二刻といっても、そのうち半刻は権兵衛酒屋にいて酒をのんでいたのだ。
 たしかによい酒であったが、平蔵は亭主にも女房にも、はなしかけたりはしなかった。
 「有合わせ一品のみ」の、その一品は蒟蒻であった。
 短冊の切った蒟蒻を空炒りにし、油揚げの千切りを加え、豆腐をすりつぶしたもので和えたものが小鉢に盛られ、運ばれてきた。
 白胡麻の香りもする。
 一箸、口をつけた平蔵が目をあげたとき、奥の板場との境に垂れ下っている紺のれんのところにいた女房と、目と目が合った。

【蒟蒻と油揚げの白和え】
料理:野崎洋光
材料:二人分
蒟蒻(半丁)油揚げ(半枚)木綿豆腐(半丁)酒(50㏄)薄口醤油(15㏄)砂糖(大さじ1)白胡麻(大さじ2)白味噌(大さじ2)

蒟蒻は5分程湯がき、油揚げは湯通しをして油を抜く。
湯がいた蒟蒻は細切りにし、油揚げはさらに細かく刻む。
切った蒟蒻と油揚げは同じ鍋の中へ入れる。
鍋に酒を入れ火にかけ、醤油、砂糖も入れ、下味をつけるため一煮立させる。
木綿豆腐は茹でて裏ごしをする。
白胡麻は擂鉢で摺り、白味噌を加えてさらに摺る。
そこへ豆腐を入れてかき混ぜ、下味を付けた蒟蒻と油揚げを入れ和える。

4:40 2014/06/24


 鬼平犯科帳7 【盗賊婚礼】

 江戸で〔本格の盗め〕をする傘山の弥太郎に、尾張で〔畜生ばたらき〕をする鳴海の繁蔵から書状が届いた。
 繁蔵の妹お糸を嫁にしてくれと言うのだ。
 両盗賊のつなぎ役長嶋の久五郎は繁蔵の陰謀を知るが、弱みを握られ、弥太郎にこの企みを告げられずにいた。
 それで婚礼が決まってしまうのであった…。

 往還に面した駒込富士前町の家並みの中に、仙右衛門がいう「おもしろいところ」があった。
 それは〔瓢箪屋〕という料理屋で、風雅なわら屋根の、いかにも田舎ふうな店構えながら、中に入ると塵ひとつさえ嫌いぬいた、清げな座敷が四つほどあり、中庭から裏手にかけては、さわやかな竹林になっていた。
 「これはよい」平蔵は、たちまち気に入ってしまった。
 芹の味噌椀。
 わけぎと木くらげを白味噌で和えたものとか鱒の味醂漬を焼きあげて嫁菜をそえたものなど、別に凝ったではないが、それだけに念が入っていて、「これはよい、これはよい。このあたりに、このような店があるとは、実に知らなんだ」「お気に入りましたかね?」「いつから、このような?」「なんでも、ここへ店を出してから五年になるそうで。主人は六十がらみの、いたっておだやかな人柄でな。独りものだそうですよ」仙右衛門がいううちに、その主人の勘助が、あいさつにあらわれた。

【芹の味噌椀】
料理:野崎洋光
材料:二人分
芹(1束)昆布・鰹の出汁(300㏄)八丁味噌(25g)粉山椒(少々)

芹は根っこをたわしで丁寧に洗い、全体も洗う。
芹は均等に切り、寝っこと太い茎から先に出汁で煮る。
寝っこと茎が柔らかくなったら八丁味噌を溶かす。
芹の葉は火を止める直前に入れ、粉山椒を入れる。

【わけぎと木くらげの白味噌和え】
料理:野崎洋光
材料:二人分
わけぎ(4本)木くらげ(20g)白味噌(30g)酢(大さじ1)辛子(適量)

生の木くらげは手でちぎり、茹でる。
わけぎは根元から茹でる。(柔らかさを均等にする為)
茹でたわけぎは包丁の背でぬめりをとり3㎝くらいに切る。
西京味噌に一度沸騰させた酢を入れ混ぜ合わせ、練った辛子も入れて混ぜる。
わけぎと木くらげにまんべんなく混ぜ合わせる。

【鱒の味醂漬】
料理:野崎洋光
材料:二人分
鱒(2切れ)味醂(大さじ2)酒(大さじ2)醤油(大さじ2)嫁菜(60g)塩(適量)

鱒は塩をふり一時間置いて、経過したら水で洗う。
味醂、酒、醤油で漬けだれを作り、そこに鱒を一時間漬ける。
炭火でじっくり、じんわりと焼く。
嫁菜はたっぷりの塩を入れて茹であげる。
焼き上がった鱒に香りと苦みを味わってもらう為、嫁菜をそえる。

6:40 2014/06/23


 剣客商売三 陽炎の男 【兎と熊】

 町医者・小川宗哲の愛弟子、村岡道歩の娘がさらわれ、娘と引き換えに毒薬を作れと脅された。
 秋山小兵衛は敵を欺くため、緻密な策を練る。
 医者の見習いに扮した大治郎が村岡の家を守り、四谷の弥七が探りを入れる。
 小兵衛の策で、村岡が動き出すのであった…、

 そこで、小兵衛と宗哲が密談半刻。
 酒ものまずに宗哲は、本所の自宅へ帰って行った。
 夜に入って、四谷の御用聞き・弥七が駆けつけて来た。
 「すまぬな、弥七。腹ぐあいはどうだ?」「晩飯も食わずに飛んでまいりました」「そうだろうとおもってな、豆茶飯を不二楼の板場へあつらえておいたぞ」「豆茶飯……?」「これ、弥七。女房が武蔵屋という四谷界隈でそれと知られた料理屋をやっているというのに、何も知らぬとは、どうしたことだ。今日はな、おはるの父親が、蚕豆のうまいのを持って来てくれてな。こいつをちょいと炒りつけ、水に浸けて皮をむいたのを茶飯に炊きこむ。これが豆茶飯よ」「へへえ。それは、うまそうでございますね、先生」「いっしょにやろう。やりながら、さて、相談だ。弥七、ちょと、おもしろいことになってきたぞ」と、今度は、おはるに、「おはる。先へ寝なさい。明日は、お前も、いそがしくなるやも知れぬ」小兵衛が、そういった。
 そして、この夜。

【豆茶飯】
料理:野崎洋光
材料:二人分
空豆(20個)米(2合)水(300㏄)酒(45㏄)濃口醤油(45㏄)

空豆はさやから出して皮の付いたまま裏表をフライパンで焼く、目安は焦げ目が付くまで。
焦げ目が付いたら氷水で一気に冷やす。
実を崩さぬように丁寧に皮を剥く。
土鍋に米を入れ、水、醤油、酒を入れて炊く。
米が炊き上がる直前に空豆を入れる(八割か九割くらい炊き上がった頃あい)豆は焚き込まない。

5:00 2014/06/22


【梅干し】
料理:坂西美津雄
材料:黄色に熟した梅(4K)塩(梅の15%600g)赤紫蘇(400g)紫蘇のもみ塩(紫蘇の5%20g)焼酎(1カップ)

1,梅はあくを抜きますが梅の熟度により加減します。
 やや黄色に熟した物は一晩、果肉の柔らかい物は3~4時間と水に漬ける時間を加減します。
 あく抜きが終わったらよく洗い水気を取りキッチンペーパーで1個ずつ拭き水気を取ります。

2,甕の底に塩を振り、交互に梅を入れ塩を振り、上にたっぷり塩を振るようにします。

3,塩を振り入れたら焼酎を1カップ回し入れ落し蓋をして梅の倍の重さの重石をします。
 湿気の少ない場所に保管し、漬け汁が上がるのを待ちます。
 漬け汁が上がって来たら重石を半分の重さにします。この漬け汁が梅白酢です。
 梅はしっかり漬かるり梅白酢が出るまで待ちます。

4,赤紫蘇はよく洗い、水気を切ります。
 葉を取り容器に入れて一つまみの塩を入れて揉みます。
 赤黒い汁が出てきますが、この汁は捨てます。
 再度塩をかけ揉みます、さらに柔らかくなるまで揉みます。
 柔らかくなったら紫蘇を手で絞り水気をとります。
 その紫蘇に梅白酢を1カップ入れ更に揉むと紫紅色になります。

5,揉んだ紫蘇を梅の上に汁ごと広げて乗せ、落し蓋をし、梅が汁に浸る程度の重石をします。
 梅雨が明けるのを待ちます。

6,日中の暑い太陽光で干します。
 からっとした暑い日に梅を干します。
 笊に1個ずつ並べて干します。
 紫蘇も絞って干し、半日に1度は裏に返して干します。
 これを3日間続けると色ずいてきます。
 一晩夜干しをすると皮がしっとりします。

7,干した物を甕に移し、皿2枚ほどの重石をして上を覆い涼しい場所に保管します。

写真は我が家の3年物の梅干しです。


鬼平犯科帳1 【浅草御厩河岸】

 浅草御厩河岸で小さな居酒屋を営む前盗賊岩五郎の元へ老爺がやってきて、ある大盗賊が、最後のか〔お盗め〕をするので手伝ってほしいと持ちかけた。
 しかし岩五郎は、長谷川平蔵の手先となって働いていたので、悩み続けていた…。

 品川へ来た翌年の冬に、折からの雪の中を宿場へ入って来た見すぼらしい旅の老人と、道でばったり出会ったとき、岩五郎はおもわず叫んだ。
 「と、父ちゃんじゃぁねえのか……」まさに、卯三郎である。
 普通ならば、わが子を放り捨て同然にしてしまった父親へ、なつかしげに声をかけるまでもない。
 けれども岩五郎の脳裏には、高岡の町の小さな家で旅から帰ってきた時の父と母の、いかにも仲むつまじい団欒があざやかに、強烈にしみついている。
 また卯三郎も、そのころは、なめしゃぶるようにして、たった一人息子を可愛がったものであった。
 「おれが故郷じゃあね、しんこ泥鰌といって、小ゆびほどの小さい泥鰌がとれる。父ちゃんはこいつを鍋に入れてね、ごぼうをこう細く切って、味噌の汁をつくるのがうめいのさ。大きい鍋にいっぱいこしらえてよ。おっ母と三人でふうふういいながら何杯も汁をすするんだ」
 と、岩五郎が双眸をかがやかせて、お勝に語ったことがある。

【しんこ泥鰌】
料理:野崎洋光
材料:二人分
泥鰌(100g)ごぼう(100g)ねぎ(3本)
水(100㏄)醤油(40㏄)味醂(40㏄)砂糖(大さじ1)薬味(粉山椒、七味・適量)

生きた泥鰌をお湯に浸す、そして直ぐに水に浸けて冷ます。
その泥鰌を洗い、ぬめりを水の中で丁寧にとる。
洗った泥鰌を鍋に入れ強火で煮る。
ごぼうはささがきに切り、ねぎもごぼうと同じ大きさに刻む。
煮えてきた泥鰌はあくを丁寧にとり、醤油、味醂、砂糖を入れる。
土鍋にごぼうちねぎを敷き広げて、その上に煮えた泥鰌を汁ごと入れる。
土鍋を火にかけて煮る。

私感
江戸前の丸ごと泥鰌鍋は苦手で食べる前から嫌いです。
以前書いた私のレシピ、子持ち泥鰌を開いて骨を抜いた柳川鍋しか泥鰌の食べ方を知らない私、けど残念な事に現在生きた泥鰌を捌ける職人が見当たりません。
15年程前は巻町に泥鰌屋が在りそこの親父の見事な泥鰌捌きに見とれたものです。
でも、このしんこ泥鰌に少し手を加えれば、私のも食べれる泥鰌鍋に仕上がるような気がします。

6:16 2014/06/03


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