献立作成竝ニ食品ガ調理ニ
依ル榮養分ノ損失ニ就テ
主計兵曹長 井上修三
献立作成竝に食品が調理に依る
養分の損失に就て
命に拠りまして献立の作製竝に食品が調理に依る養分の損失
に就いてお話を致したいと思います可成理論的のことは避け
まして体験に依り直感したことを総括して諸君が今後の研究
さるる一助にもなれば幸であります
一、献立作成
調理に於ける献立の重要なることは今更論ずる迄もありませ
んが糧食論理の最も重要なる点は其の消費さるる優値を極め
に発揮するにあると思うのであります、倫理にに於て糧食品
を最も旨放に消費せらるるか又拙劣に殆ど其の優値を半減さ
るるかの岐路は先ず献立にあるのであります即ち献立は
命令でありまして調理は実行でありますその命令者にして
唯漫然として目前の材料のみにて理由も考案もなく調理名
を書きならべる様なことでは
» 舞鶴要港部兵食献立調理講習記録のブログ記事
當局ニ於テモコノ重要性ニ鑑ミ風ニ究努力セラレ諸技術ノ上ニ将又諸施設ノ上ニ進歩改善ノ跡頗ル顯著ナルモノアリ
或方面ニ於テハ羨望視サレツツアル現状ナリ
然レドモ一般文化ノ急速ナル進歩ニ比較スルトキ厨業改善ノ極メテ振ハズ其ノ進歩ノ遅々タルヲ思ハルザルネカラズ
彼ノ機関兵器等ノ精巧ナル正ニ世界ニ冠タルニ比スレバ何ゾ其ノ徑庭ノ餘リニ大ナルヤ
故ニ當局者ハ鋭意コレガ改善ニ努力シ新鑑艤装ニ於テ烹炊施設ノ電化ニ依リ面目ヲ一新シタル如キハ其ノ一例ニシテ或る射ハ
厨業ノ管理ニ榮養ノ問題ニ多方面ニ亘リ著々其ノ實蹟挙ゲツツアルモ尚兵食給興ノ制度、組織ニ改善ノ餘地少カラズヲ思ヒ講習會ノ開催スルニ至リ今回ハ其ノ第三回目ナリ
即千本講習最終ノ目的ハ厨業ノ改善ナルドモ本講習ニ於テ諸子ノ研究スベキ範圍ハ主トシテ兵食献立調理ノ實際並ニ榮養等ノ問題ニ就キ興ヘラレタル金額ヲ如何ニ善用シ如何ニ活用スベキカヲ研究シ将来實務ノ改善ニ資スルニ在リ
諸子ハコノ趣意目的ニ副フベク最モ效果的ニ本講習ヲ終了セラレンコトヲ希望ス
右開會ニ當リ一言訓示ス
尚指導セラルル緒官ニ於テモコノ趣意ヲ体シ萬遺憾ナキヲ期セラレ度
舞鶴要港部兵食献立調理講習指導官
※以下表を省く
舞鶴要港部兵職献立調理講習員名簿
所轄 等級 氏名
防衛隊 ニ主曹 岡田万吉
三主曹 西村清左エ門
一主 大田實
” 梅地二郎
二主 杉田艶一
” 松田英夫
” 岸辺宇三郎
” 生駒軍司
多摩 一主 芝崎操
二主 永井五郎
” 佐藤正吉
” 遠藤榮
三主 大川岩見
” 小池貞美
” 高橋福松
無線電信所 三主 長田參松
吾妻 一主 山岡利雄
三主 深町暉人
機関學校 ニ主曹 嶽龍一郎
一主 岩西岩良
二主 小谷國雄
” 藤脇正雄
十四駆逐隊 一主 田部金次郎
二主 打越新八
” 武田千代松
連 ニ主曹 中村正辻
二主 坂西英雄
三主 岩本保
要港部病院 一主 磯貝榮
二主 輪島金之
呂三十一潜水艇 一主 福丸繁
(一)参加各基本扱ハ左記日割ニ依リ當日ノ實習ニ従事スルモノトス
第一日 防備隊
第二日 吾妻及病院
第四日 多摩
第六日 機関學校
(二)軍需部ハ第1號實習當日防備隊ニ供給スル基本食材料品名ヲ豫定シ速ニ関係基本部ニ通知スベシ
(三)各基本部ハ前號軍需部ヨリ通知ノ材料ヲ使用シ主トシテ兵食献立調理研究會ニ於ケル研究献立ヲ應用シ献立数種を作製スルモノトス
(四)前號ニ依ル献立ニハ基本食材料ノ外一人當金十二銭以内ニ於テ適宣ノ材料及調味品ヲ使用スルコトヲ得
(五)各基本部ハ前各號ニ拠リ實施セントスル献立及基本食材料竝ニソノ他ノ所要材料ノ品名数量ノ實施當日3日前迄ニ軍需部通知スヘシ所要数量ハ四十人分ヲ目途トス
(六)軍需部ハ前號ノ通知ヲ受ケタル時ハ之ヲ審査シ適宣ノ方法ヲ以テ當日防備隊ニ供給スルモノトス
(七)調理實習ハ献立作成基本部派遣講習員ヲシテ先任者指導ノ下ニ之ニ従事セシメ要スレバ残餘講習員ヲシテ敵宣補助セシム
(八)献立ノ適否調理ノ良否ハ補助官及補助官附之ノ審査シ成績意見ヲ発表ス
四、補助官及補助官附
補助官 海軍主計小佐 早川貞吉
補助官 海軍主計小佐 小林寿一
同 同 柏木兼蔵
同 海軍主計大尉 志村末瑳男
補佐官 海軍主計兵曹長 井上俊三
同 同 吉田繁太郎
同 同 藤田仙治郎
※以下表を省く
五、講習員
所轄 派出員数 所轄 派出員数
防衛隊 八 十四駆逐隊 三
多摩 八 機関學校 四
吾妻 二 要港部病院 二
無線電信所 一 呂號三十一潜水艇 一
連 三 計 三 二
各基本部ハ講習員ノ等級氏名ヲ一月三十日迄指導官ニ通知スベシ
六、雜件
イ、開始時刻 午前九時 午后一時
ロ、參集時刻 開始時刻十五分前
ハ、携帯品 筆記用具、前垂、包丁、辨當
ニ、各基本部ハ調理實習施行當日講習員ノ夕食不給トシ防備隊ニ於テ一併支給スルノノトス
ホ、主計科准士官以上ハ勤務ニ支障ナキ限リ聴講又ハ見學スベシ
(終)
※このページは画像のように表書きですが表は省きます。
舞要徑第一七號ノ三
昭和七年一月二十二日
舞鶴要港部兵食献立調理講習指導官
舞鶴要港部日令第七號ニ依ル舞鶴要港部兵食献立調理講習實施方案存ノ通定ム
一、講習科目及日程
期日 曜 科目
午前 午後
二月二日 火 開講訓示 献立作成並ニ調理に依ル栄養分ノ損失ニ就テ 献立作製並ニ實習
三日 水 烹炊施設ニ就テ 糧食雑話 右仝
五日 金 料理ニ関スル講話竝ニ實習
八日 月 冷凍魚及其ノ取扱ニ就テ 献立作製並ニ實習
九日 火 製パン製菓ニ関スル講話竝ニ實習
十日 水 糧食雑話 献立作製並ニ實習
13日 土 研究会 開講訓示
作業ノ都合ソノ他ノ都合ニ依リ科目竝ニ日程ハ変更スルコトアルベシ
二、講習科目擔任者豫定表
糧食雑和 海軍主計大尉 津村未槎男
献立ノ作製竝ニ食品ノ調理ニ依ル栄養分ノ損失ニ就テ 海軍主計兵曹長 井上修三
烹炊設備 海軍主計兵曹長 藤田仙次郎
料理ニ関スル講話竝ニ實習 日本割烹講習會長 辻徳光
製パン製菓(話及實習) 大日本製菓製麺麹學校校長 杉本隆治
冷凍魚及其ノ取扱調理法 中央冷凍株式会社専務取締役 飯山太平
献立作成竝ニ調理實習 海軍主計兵曹長 井上修三
同 藤田仙次郎
三、献立作成竝ニ調理實習施要領
舞鶴要港部日令第七號
昭和七年一月二十三日
舞鶴要港部司令官 大湊直太郎
左記ニ依リ昭和四年八月官房第二八九0號ニ依ル兵食献立調理講習を施行ス
一、期日 自二月二日 至二月十五日 間ニ於テ一週間
二、場所 舞鶴防衛隊又ハ舞鶴要港部軍需部
三、指導官 川田會計經理聯合教育指導官
四、補助官及理講員 指導官ヲシテ定メシム
五、指導官ハ實施方案ヲ定メ提出スルト共ニ関係各部ニ通知スベシ
六、指導官ハ講習終了後其ノ経過成績所見三通ヲ提出スベシ
(終)
最初からお手上げです。(ーー;)
編纂順序(へんさんじゅんじょ)と読むのでしょうか?)
編纂順序
一、講習實施ニ關スル日令
二、講習實施方案
三、講習員名簿
四、開講訓示
五、献立作成竝ニ調理ニ依ル榮養分ノ損失ニ就テ
六、烹炊施設ニ就テ
七、糧食雑話
八、料理ニ関スル講話
九、冷凍魚及其取扱ニ就テ
十、製パン製菓ニ関スル講話竝ニ實習(十は横の一0)
十一、献立作成竝ニ實習(十一は横に一一2つ)
十二、研究會摘録(十二は横に一二)
十三、閉講訓示(十三は横に一三)
この古い記録は火事で焼けた我が家から免れた只唯一の親父の形見です。料理を作る親父の姿に興味を持ち子供心の私はこの調理本【舞鶴要港部兵食献立調理講習記録】に何故か魅力を感じ内緒で持ち出しておりました。幸いその様な訳で火災から免れました。
表紙には
昭和七年二月 舞鶴要港部兵食献立調理講習記録 舞鶴要港部經理部
ご覧の通りガリ版刷の古くて、字も昔字、解読困難ですがゆっくりと私の時間、能力の届く範囲内で公開したいと思います。1ページ事写真を公開して、解読など私の能力の範囲外は皆様の協力など頂けましたら嬉しいです。