剣客商売二「悪い虫」

 うなぎ屋の又六が、大治郎に剣術指南を願い出た。
 悪い奴に馬鹿にされたくないから、十日で強くして欲しいと言う。
 悪い奴とは、深川で手あたり次第悪事を働く又六腹違いの兄。
 無茶な願いに困った大治郎は、父・小兵衛に打ち明けた。
 こうして始まった、秋山親子の猛特訓。
 十三日目。
 又六の元へあの「悪い虫」が現れた……。

 「三十年も剣術をやると、今度は、おのれがいかに弱いかということがわかる」「そ、それじゃあ、何にもなんねい」「四十年やると、もう何がなんだか、わけがわからなくなる」「だって、お前さん……いえ、先生は、まだ、おれと同じ年ごろだのに……」大治郎は苦笑した。
 今いったことは、父・秋山小兵衛のことばの受け売りだったからである。
 蕪の味噌汁に里芋の煮物。
 それに大根の漬物の朝飯を、又六は緊張のあまり、ほとんど喉へ通さなかった。

【蕪の味噌汁】
料理:田村隆
材料:二人分
蕪(中2個)出汁(400㏄)味噌(30g)

【大根の漬物】
大根(100g)濃口醤油(大匙1)味醂(大匙1)酢(大匙1,5)赤唐辛子(1本)

蕪は身から5㎝程茎を残し皮を剥き、四等分に切り水に晒す。
出汁に蕪を入れ火を通す。
火が通ったら、味噌を溶き入れる。

大根は短冊に切り、赤唐辛子は刻む。
大根に濃口醤油・味醂・酢・赤唐辛子を入れ軽く揉む、ポリ袋へ入れ密封。
一時間程で出来上がり。


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