子供時代を思い出す話です、テレビも無い、勿論テレビゲームも有りません。
遊びと言えば肥後守をポッケに入れて杉鉄砲や竹蜻蛉をつくる、ベーゴマをパッチを、川で泳ぎ魚を捕る釣る、鬼ゴッコをする、そんなものです。
この時代の事は、現代では理解出来ない話でしょうね。
「小説の散歩みち」池波正太郎(朝日文庫)
私が喧嘩して、負けて帰ってくると、曽祖母は外へ飛び出し、「うちの正太郎をいじめたやつはだれだ!」と叫ぶので、母も祖母も閉口したものだ。
「男が負けっぱなしでいてはいけない。木刀で仕返しをしておいで。勝ったら、相手をやっつけたら、お前の好きなカツライスをおごってやる」
曽祖母にけしかけられ、何度かカツライスに舌つづみを打った事もある。
こうした曽祖母の愛情を子供心に感じていたのだろう。
八十何歳かで曽祖母は死病の床についたとき、当時十歳の私は、毎日、学校から帰るとそうめんを茹で、枕もとへ運ぶのを常とした。
曽祖母は、これを非常によろこんでくれたものだ。
池波さんは大正13年生まれ健在なら90歳でしょうか。