剣客商売 女武芸者
台所から根深汁のにおいがただよってきている。
このところ朝も夕も、根深汁に大根の漬物だけで食事をしながら、彼は暮らしていた。
若者の名を秋山大治郎という。
根深汁で飯を食べ始めた彼の両眼は童子のごとく無邪気なものであって、ふとやかな鼻はたのしげに汁のにおいを嗅ぎ、厚い唇はたきあがったばかりの麦飯をうけいれることに専念しきっているかのようだ。
食事を終えたとき、すでに夜の闇がたれこめていた。
【根深汁】
料理:野崎洋光
材料:二人分
根深ねぎ(2本)信州味噌(50g)煮干し(8本)
煎り白ごま(大さじ3)水(500㏄)七味(適量)
煮干しは頭と、はらわたを取り除き、開く。
開いた煮干しは2時間以上水に浸しておく。
煎り白ごまをすり鉢ですりつぶす、煮干しで取った出汁を入れ、ごまをのばしていく、さらに出汁を入れ、ごまをのばしていく。
ねぎは男らしくぶつ切に3㎝ほどの長さに切り、ごまでのばした出汁の鍋へ、青い部分も出汁を採る為入れる。
沸騰してきたら弱火にしてねぎに火が通るまでにる、灰汁は丁寧にとりながら。
煮えてきたら青い部分と取り出し、味噌を少しずつ溶き入れる。
椀に盛ったら七味を少々ふりかける。
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